度重なるシティレールの運行遅延や運転中止に業を煮やしたシティレール利用者である一人の女性が、「2004年11月22日はシティレールへの支払いを拒否しよう」という呼び掛けを行ったところ、賛同者が続出し、これを受けてニューサウスウェールズ州の首相が、同日を「シティレールの料金は無料」と宣言する事態が起こった。
この運動の発起人は、支払い拒否が問題を解決する方法とならないことは理解しているものの、中止や遅れが頻発する鉄道に何ヶ月も我慢した結果、止むに止まれず行動を起こすことにしたのだと語っている。
NSW州首相がこの宣言を行った背景には、この運動に賛同した乗客と、駅係員の間でいざこざが起こりそうになった時は、料金徴収を強制すべきではないという鉄道労働組合から圧力がかかったためと言われる。
さらにその圧力の背景には、労働組合とシティレール幹部との間で繰り広げられていた団体交渉が難航し、労働組合側が実質的な抗議ストとしてこの運動を利用しようとしたためと考えられている。
また、首相自身も運行遅延のみならず、運転手の不足問題、列車本数の削減を図るダイヤ改正等、とかくシティレールに向かいがちな鉄道利用者の怒りの矛先を、少しでもそらしたかったのではないかと考えられている。
首相の宣言どおり、11月22日はシティレールの料金は無料となり、これによって推定90万人の乗客が無料でシティレールを利用したと言われている。
その一方でシティレールの損失は概算で200万ドル(日本円で約1億6千万円)にも上ったとされる。
州首相の無料宣言は、運動の発起人を含め、長年シティレールに苦しめられてきた人々には歓迎されたものの、結局当日も列車の運行遅延は相次ぎ、根本的な問題の解決には至らないという認識を利用者に与える結果となったようである。
(注)シティレールとは、シドニーを中心とする州営の旅客鉄道網の呼称である。
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